2009年04月20日

eBay判決の影響

eBay判決は、連邦最高裁判決であり、下級審にとって規範力をもちます。


下級審がどのような影響をうけるかについて、米特許高裁(CAFC)の判決(Paice LLC. v. Toyota Motor Corp.事件, 2007年)を具体的に検討してみます。


この事件でのPaice(原告)は自らは製造しないがハイブリッド電気自動車用のドライブ・トレインに関する特許を所有していました。トヨタのプリウスIIやレクサスなどの高級車が原告の特許3件を侵害しているとして、テキサス州の東部地区地裁に陪審裁を起こしました。陪審員は最終的に「文言侵害ナシ」均等論による「侵害アリ」と判断しました。


地裁は、損害賠償として、一台あたり25ドルの合理的実施料の支払いをトヨタに命じました。



それを受けて原告は、差止請求のモーションを提出し、侵害品の販売の差止めを求めたのですが、地裁はeBay判決に鑑みて、伝統的な4要素基準を適用して最終的に差止は認められないと判決しました。

原告はこの判決を不服として、CAFCに控訴し、被告のトヨタも均等論侵害の証拠が不十分であったとして控訴しました。


控訴審では、まず証拠が十分であったどうかが審理されました。トヨタの主張のポイントは、原告の専門家証人はもっぱら文言侵害を立証するための内容であって、それが認められなかった以上、均等論の侵害を支持するための証拠として不足である、というものでしたが、この主張は認められませんでした。


次の争点が、25ドルの損害賠償額の適否でした。


CAFCの結論は、25ドルの賠償額の多寡はともかく、その数字の算定根拠が不明なので、地裁でもう一度この論点についての審理をやりなおすよう命じました。


この事件の一審で、伝統的なエクイティの4要素が検討されました。4要素のうち特徴的なのが、第一要素の「回復不能な損害」と第三要素の「困難性」について。

回復不能な損害の有無については、原告は実際に製品を作っていないので、原告が失うものはないという結論で、原告の主張は認められませんでした。

また、困難性の有無については、原告は、差止が認められないと原告は事業から撤退しなければならないのに、トヨタにとってはちょっとした出費にすぎない、という主張をしましたが、認められませんでした。


この判決からも、差止リスクをてことした「ゆすり」的な取引を認めないというeBay判決のメッセージが伝わってきます。この事件も、製造設備をもたない特許権者による、パテントトローラ的な権利行使をめぐるものでした。
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