2008年11月09日

アメリカ知的財産法への誘い〜 特許模擬裁判 〜

筆者は現在、知財の専門職大学院で、米国特許法と国際知財訴訟を担当している。授業の準備のために、1990年に作成した「米国特許模擬裁判」のビデオを見る機会があった。


このビデオは、筆者が編集責任をしたものであるが、コピーを持っていることさえ忘れかけていたので、とてもなつかしく当時を思い出した。


この模擬裁判は、東京・三田の笹川記念ホールで1990年に開催した。

日本で初めての本格的な特許模擬裁判だったこともあり、話題を呼び500人弱の企業知財法務担当者が参加した。出演者は米国人特許弁護士9人。それぞれ裁判官、法廷弁護士、証人役を担当した。人工肺に関する米国特許侵害訴訟のトライアル(法廷審理)の場面を、実物サンプルを使って再現した。シナリオは、米国知財法協会(AIPLA)の訴訟部会が会員の研修用に制作したもので、それを日本での実演のためにお借りした。


この模擬裁判を企画・実施したのが筆者であった。出演者との連絡、会場の設営、ビデオ記録など、部下の手伝いがあったとは言え、すべて手探りで、今思えばよくやったものである。会場も現在であれば、ロースクールの模擬法廷などをお借りできるかもしれないが、当時は適当な場所がなく、結局、大きなホールのステージでの実演となった。結局、模擬裁判という公演の舞台監督をやったようなものである。


今では苦労の大半は忘れたが、模擬裁判の模様をビデオで見ると、さまざまなことが思い出されてくる。特に、ビデオ制作の経験が今思うと貴重であった。

ビデオ制作も筆者が担当したのだが、一番の苦労は、日本語のナレーションを入れるためのセリフ作成。裁判では特許性要件の有無が争点になるので、それを分かりやすい日本語に直すのに苦労した記憶が蘇ってきた。米国特許法を特に102条、103条については相当勉強した。それが、今の米特許法を教えるという立場にも大きな支えとなっているような気がする。それから、スタジオでのビデオ編集作業は、まったく違った環境での作業で、編集機械やスタッフに囲まれての作業は、とても楽しかったことを覚えている。


模擬裁判が好評で、出演者がその気になり、翌年には、さらにエスカレートして、陪審員による特許侵害裁判を行った。そのためにニューヨークの地方裁判所から現役の裁判官を招き、実際に陪審員を舞台上に上げて、模擬裁判を実施した。場所は同じく笹川記念ホール。その時には、陪審員による別室での評議の模様を中央ステージに映写するという仕掛けをした。NHKのカメラが入り「NHKスペシャル」にも取り上げられるほど話題となった。当時は、知財が関心を持たれ始めた揺籃期だった。


今、振り返ると、感慨もひとしおである。
posted by J.Fujino at 15:48| Comment(0) | TrackBack(0) | メールマガジン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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